Tamiya 35074 [テントセット、或いは小津的なテクスチュア]

Tamiya 35074 テントセット

トッセトンテ、反対から読めば響きはザッハトルテに似て、
柴田氏のヴィネットにイメージ重ね、ワインとともに召しませ、
アァ、スィートなテントセット。

現行価格500円のフィギュアシリーズは四種、
“投げる彼”がピッチャーの身振りに近く、よく改造の基にされた*というアメリカ歩兵、
馬具の紐はプラスチック板からよりも、マスキングテープ二枚重ね細切りからがベターそうに思われるドイツ乗馬セット、
ヴェトナム戦争時代とみてよいものやら、時代設定が箱に書かれておらず、今一つ判然としないアメリカ迫撃砲チーム、
そしてこの、テントセットですが、そのテントの大きさから地面占有面積が大きくて、お得感があり、
MM史**を眺めた時に、初めてのヴィネット的キットの位置を占めています。

Tamiya 35074で、考証上判然としないのは、無線機が何の機種なのか、です。
Tamiya 32561としてテントセットが1/48化されたときには、彼が用いている無線機はそのまま縮小されず、
Dragonの1/35 無線機Eスプルーでおなじみの、二つの箱に分かれたドイツ軍無線機、
Torn. Fu.d2 に変更されています。

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↑この布目の表現に、小津映画の冒頭で、
米の袋の上に小津安二郎が書いた文字で題名、役者、スタッフが重ねられるのを思い出さずにはいられません。

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注と、学生視点からのはなし

*モリナガ・ヨウ氏の「巻頭マンガ 思い出の人形たちあれこれ」
大日本絵画 『アーマーモデリング』 1998年6月号、Vol.9

**リアルタイムにテントセットの発売に立ち会い得た世代がこのキットに対して抱いた感想としては、
ウラソフ氏(1965生)のレビュー。(モデルアート 『パンツァーグラフ』2008年春号、Vol.12)
「今で言うところのヴィネット仕上げが可能な内容であったため、そのまま情景にし易いキットでもあった」

なお、MM史において最多のリリース数28を記録した、1975年のキットでもある。
これに次ぐ番号を持つ35075は九七式中戦車であり、同年12月発売。
終戦30年のこの年を締めくくる形で九七式中戦車が出ていると見ることも出来よう。

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70年代の戦争表象を考える上でも、引用文献欄に、『日本プラモデル興亡史―子供たちの昭和史』があることからも、
つまりは、映画史的にも、映画研究の視点的にも、模型趣味者的視点でも物凄く興味深い論文として、
佐野明子先生の「戦艦大和イメージの転回」
(奥村賢編 『日本映画史叢書10 映画と戦争 撮る欲望/見る欲望』、森話社、2009)があります。

MM最盛期、1974年にTVシリーズが始まった『宇宙戦艦ヤマト』の映画版、
『宇宙戦艦ヤマト』(1977)は日本映画の戦艦大和の表象において転換点であり、
「ヤマト」をきっかけに「大和」に魅力を感じるようになった青少年層の吸収動員が『連合艦隊』(1981)***の大ヒットにつながったと見なせる、と、佐野先生は書かれていますが、
この論文を拝読して刺激を受けてから、その同時代の現象として、70年代のミリタリー模型ブームに着目し、同時期のタミヤニュースや模型雑誌の読者欄をサーベイして、
70年代の「ミリタリーモデル趣味の若者にとっての戦争イメージ」を考察できないだろうかと思ってます。

***「連合艦隊」(1981)の撮影に用いられた1/20戦艦大和の模型については、
今店頭に並んでいて、そろそろ新しい号が店頭に並ぶ月刊模型雑誌、
『モデルグラフィックス』2010年2月号、Vol.303岸川靖氏の「空想科学画報」を参照。
とくにモデラー的視点から佐野先生の論文を読むときには併読したい記事です。
by tokyomonogatari | 2010-01-24 23:22 | Germany | Comments(0)
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