Dragon 6653 [1944年欧州戦線の米英軍兵士]

Dragon 6653, Allied Force ETO 1944

ひとつのキットにふたつ以上の軍籍/ナショナリティーが存在しているさまを、私は"越境"と呼ぶ。

Dragon社1/35第二次大戦期フィギュアにおける"越境"は、6053通信兵の元ソヴィエト兵ドイツ軍補助員とドイツ兵が初の事例であり、
それに次ぐ越境が行われたのは、revamped-Gen.1の第2作目となった6344のポーランド兵とドイツ兵であるが、これは同社初のポーランド兵にして、
インジェクションポーランド兵フィギュアとして唯一の存在である事は指摘するまでもない周知のことであろう。
そして、6478では同社初のフランス兵*に対し、ドイツ兵に降伏する身振りが与えられている。
その二例からは、大戦初期、ドイツ電撃戦期の非ドイツ軍フィギュアには捕虜の立ち位置が与えられがち、という傾向を見てとる事が出来よう。
また、それに次ぐ6491では、欧州戦線の身なりでは同社唯一のイタリア兵がドイツ兵と共闘、
越境かつ共闘という流れを引き継ぎつつ、6515モンテカッシーノのイギリス連邦軍兵士では、
ヘッド選択によるナショナリティー変更可能性という新しい越境のあり方が提示されたのであるが、
同時にこれは、西洋-アジア間の越境が初めて行われた事例であり**、
しかも数量の上ではアジア人ヘッドの方が多く、私はある種のフィギュア模型界における西洋優位表象=フィギュア版オリエンタリズムの崩壊をそこに見出し、
激しい衝撃を受けたものである。
6652ではドイツ兵とソ連兵が同じランナーに入るという6053以来久しぶりの事例が出現したが、
それまでの越境フィギュアとは異なり、フィギュアが同一の場面に存在せず、それぞれ独立しており、
関連性が希薄であった。

Dragon 6653では、敵味方という単純な対立軸、そして西洋-東洋という対立軸間の越境ではなく、
アメリカ-イギリスという間の軽やかな越境が、6652の流れを引き継いで相互の関連性が希薄な中でなされているのであるが、
この二国間の越境のインジェクションフィギュアの先行例を探してみれば、Miniart 35042が最近の事例であり、
それ以前の事例は、Italeriの"連合軍兵士モノ"に遡らねばならないのではなかろうか。

先行事例を探るのは置いといて、Dragon 6653のフィギュアそれ自体について語れば、
彫り自体は冴えに冴えているのだが、やや下半身が短め、というDragon的体躯であり、
組むならば膝で切って延長したいところ。


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(註)
*第二次大戦期という条件の下で。現用フランス兵は存在する。
**西洋-アジアの越境の初の事例は、3306。同様の越境の特異な事例としては、限定版「ウインド・トーカーズ」パッケージの日本兵-アメリカ海兵隊兵士が存在する点も留意。

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by tokyomonogatari | 2011-02-27 00:53 | U.S.A. | Comments(0)
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