Tamiya 35148-Z [8tハーフトラックのクルーたち]

Tamiya社が1/35でミニチュア化している果物は、現在リンゴのみである。
そのリンゴは1994年の35148-Zでは手に持たれた形で一体成型として登場、2001年の35247-Yではリンゴ単体で独立した。

果物とドイツ兵で思い出すのは、中学時代の同級生O君のことである。
O君は37mm対戦車砲(35035)を初めてのMMキットとして購入、フィギュアを塗り、
次にジェリカンセット(35026)のドラム缶を錆びさせて仕上げたのは13才の初夏。

O君は絵心があり、ちょっとした粋なデザインを、洗練された線を引いて、すいすいすいと描いた。
授業中に何か思いついたらしく、ノートにササッと書きあげたのは、随所にクレヨンしんちゃん的なお尻のふた山を散りばめてまとめた車の絵。
右下に「ケツ四駆」と小さく書いてあるのに私がいたく感じ入ったのは、数学の時間のことである。

季節は秋。O君は37mm対戦車砲のフィギュアを筆箱にずっと入れていたものだから、
黒鉛で徐々に黒くなって歴戦の勇士ぶりが増してきていた頃、O君は新作の模型のプランをスケッチした。
そこに書かれていたのは、ブドウを食べるドイツ兵であった。

ブドウをまとめてむしゃりと、指でつまんで上からぶら下げて口に入れるポオズを与えた彼の絵に、
ううむ、ワイルドやな、と当時の私は思うばかりであったのだが、
それから数年後、早稲田古書店街の店頭に、バルトロメ・エステバン・ムリーリョの画集*が売られているのを見て、
その表紙の「メロンを食べる少年たち」に、これだったのか、と驚嘆したのは、20の春のこと。

「メロンを食べる少年たち」のタイトルがその画集では与えられているが、絵の左の少年が今まさに口にしているのは、ブドウである。
それを上から指でつまんでぶら下げたのをパクッと愛らしく食べているその少年のポオズは、
中学時代O君がドイツ兵フィギュアのプランに与えたポオズそのものであって、
ムリリョの絵がモチーフだったのか、と、ムリーリョの名前すら知らなかった無知な私は驚くことしきりだったのだけれども、
結局そのブドウを食べるドイツ兵はO君の手によって作られる事はなく、
果物を食べる兵士のフィギュア、も、中々キット化されずに今に至るのである。

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(註)
*『ファブリ世界名画集 81 ムリリョ』 (平凡社、1973)
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↑Tamiya 35148-Zのリンゴを持つ手。
リンゴとドイツ兵フィギュア、は果物が表象される事が少ない1/35模型界の中にあっても、割と親和性が高い。
上述したようにTamiya 35148-Z、35247-Y、そして最新のものとして、2009年のDragon 6563の事例が存在。

Tamiya 35148-Zは、一枚441円。
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by tokyomonogatari | 2011-04-21 23:37 | Germany | Comments(0)
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