Tamiya 35104=35317-D [クルップボクサー/クルッププロッツェの運転手]

Tamiya 35317は35104(1978.7)に35111(1979.6)が小火器として加えられ、なおかつ、
35239-Z(1999.11)のダークグレー成型版が後部座席の乗員として与えられたもの、というのは指摘するまでもないことでございましょう。
私が興味あることは寧ろ、70年代の古い方のフィギュアにおける身なり決定の"政治的"なプレイについて、なのです。

四谷仙波堂の仙波氏によれば、MM史において、車輌としての35104は、
「それまでの、部品点数の削減を至上としていたタミヤソフトスキンの流れを変えた一作です。「部品数は多少増える事になるが、ソフトスキンの持つ複雑なメカニズムを楽しんでもらおう」と言う設計が市場で好意的に受け入れられ」*たものであるとのことです。

では、当時、35104のフィギュアががどう受け止められたのかを知り得るテクストとしては、
モリナガ・ヨウ氏の「35分の1スケールの迷宮物語」の連載10回目の記事**があり、
「タミヤの人形は開襟=中期型軍服だったりするので、クルップの人形が開襟なのに初期型軍服というのにすごい違和感を覚えたものだ。」とあります。

クルップの人形=運転手が「開襟なのに初期型軍服」であるのは、枠外でモリナガ氏が書いているように、
「よーするに第1ボタン外しているだけ」のことであり、
モリナガ氏の言うところの初期型軍服=M36/40野戦服も、中期型軍服=M43野戦服も、
第1ボタンをキチンとしめる事も出来るし、外して開襟にする事も出来るものであるにも関わらず、
なるほどタミヤ社のフィギュアにはM43を開襟にする傾向があると言うか、モリナガ氏のように等号で結んでも良いほどの親密性を有すると思います。

史料を少し探ってみると、『タミヤニュース』Vol.75 (1978.7)のp.15に、
クルップの人形の身なりの理由が明かされており、
「ドライバーの人形もラフな開襟スタイルとし、塗装によっては空軍所属の兵士にも応用がきくように進めてみました。これは先に発売したホルヒ1a牽引の2cmFlak38対空機関砲を同部隊設定とした時、使用できます。」とありました。

その記述を確認した後、空軍の野戦服で、M36に似たプリーツ付きポケットがあるタイプのものは、第1ボタンが首元になく、
開襟で着るものだ、という事を、この小文を書くに当たって調べて知ったのですけれど、***、
なるほどその空軍野戦服には袖の折り返しがあるから、開襟に併せて袖を巻くる必要があったのか、
と、生まれる前にリリースされたこの運転手に、ある程度納得のいく読みを与えるのに、手元の乏しい文献漁ってようやく至った次第です。


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(註)
*四谷仙波堂HPのTamiya 35317の解説文
**初出『モデルグラフィックス』(大日本絵画、1999.4)、『35分の1スケールの迷宮物語』(大日本絵画、2003)所収, P.24
***『グランドパワー9月号別冊 第2次世界大戦 ドイツ歩兵 in Action (3)」 (ガリレオ出版、2006)P.6の図版とその解説文を参照
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by tokyomonogatari | 2011-06-08 03:06 | Germany | Comments(2)
Commented by take at 2011-06-08 14:32 x
はじめまして。
毎回、楽しく読ませてもらっております 
中古の玩具やCD、DVDなんかが置いてある大型店へ行く度、模型コーナーに立ち寄ってはドラゴンのフィギュアが置いてないか、と探す今日この頃です(汗) うまくすれば、半額近い値で手に入りますしね。。。特にUS 兵なんぞのものがあったときは、やったね、って感じであります タンククルーなんかも貴重ですよね、たぶん。。。
Commented by tokyomonogatari at 2011-06-09 01:48
はじめまして。
拝見とか見ていますとかではなくて、「読ま」れているとなると、
キチンと文章を書かねばならぬと思わされますね。

自宅近くの小さなリサイクルショップで、Verlinden Productionsの120mmスケールのアッシリアの王を100円で購入するという、
僥倖に恵まれてから、模型店のセールにそれほど心惑わされない老成した感覚に至る事に成功しました。

U.S. Tank CrewでDragon社のものとなると、3020と6054とがあって、後者は何ヶ月前かに再販があり、その一方で
前者はフィギュアキット単体としては未だに貴重、という感があります。
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