Master Box 3529 [1944年、コルスン・シェフチェンコフスキーのソヴィエト兵]

写真撮影をするソヴィエト兵士群像のこのフィギュアを見た時に思い出したのは、
蓮実重彦先生の『監督 小津安二郎』の「Ⅳ 立ちどまること」でのご指摘、
ザックリ言えば小津映画における写真撮影は別離フラグの傾向がある、ということなのです*。

Master Box 3529で興味深いのは、写真撮影に当たってポオズを指示するシープスキンコートの兵士が左手に持つキャメラは、差し替え用の双眼鏡も用意されていて、
戦場での指示ポオズをオルタナティヴとして持ち、
一方、被写体の兵士たちは、写真に収まるにしてはやや”好戦的すぎる”ポオズが中身では与えられていて、箱絵の記念撮影はややダウトなのです。
つまりは、箱絵から受ける印象とは逆で、戦闘シーンを第一に、写真撮影シーンをやや無理気味にオルタナティヴとして与えられていると捉えた方が良い、
というのがこのフィギュアキットの実際のところなのです。

しかしながら、記念撮影のポオズ指示は戦闘時の突撃指示と同程度に別離フラグとして機能し得るのが戦場なのである、ということに気づかされた時に、
少なくとも、写真撮影を巡る様相においては、小津映画は"戦場的"なのであるとも言えそうであり、
なるほど「麦秋」(1951)の記念撮影を前にして、少年が帽子をかぶるかかぶらないかで悩むのは、日本陸軍兵士として中支戦線に従軍していた小津安二郎が、
本来は陸軍の星章が付いている戦闘帽を、どうしたことか星無しのものをかぶって写真に収まっているという、帽子を巡る謎の拘りにも似ていて、
ううむ、小津にとっては、写真撮影と帽子は、ミリタリー的意味を帯びているのではなかろうか**、などと、悶々と妄想したりしております。

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(註)
*『監督 小津安二郎』(ちくま学芸文庫、2001年) p.195-206

**なお、小津映画で最もミリタリー的傾向の強い帽子は、「東京の宿」(1935)で少年がかぶっている昭五式軍帽である。
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Master Box 3529, "Photo for the Newspaper", Russian Infantry Korsun-Shevchenkovskiy, 1944

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by tokyomonogatari | 2012-01-23 02:43 | Russia/Soviet | Comments(0)
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