Tamiya 35303-F&S [JSU-152のソヴィエト軍自走砲兵]

MMシリーズにおける第二次大戦期のソヴィエト軍戦車兵/自走砲兵の砲塔/天板/車輌上のポオズを振り返っておくと、
35049-Dの戦車長には砲塔ハッチの陰から左に身を出しつつ、その右手でハッチのフチを掴むか信号旗を持つかの腕パーツの選択の余地が与えられ、
35059-Dのふたりにはまたハッチのフチを掴む手付きが与えられつつも、そのうちひとりには信号銃を放つ右腕と選択が可能であったりと、
初期には"右腕オルタナティヴ性"が明らかに存在していたのです。

その傾向をあっさりと打ち消すように35063-A、35066、通称"ギガントのおっさん"には左手にヨッシャヨッシャのガッツポオズの握りこぶしのみがが与えられ、
モノを掴むのではなく、意志の確かさを手の内に秘めるポオズに一時的に振れながらにして、
35072-Dでは再度右手はモノ=ソヴィエト軍戦車帽を握り、35093-Dではハッチに手を添えるやわらかな手つきが与えられてもなお、
35142では再度"ギガントのおっさん"が現れてその手は硬く握られ、35211-Cではハッチのフチを掴む手付きに回帰。

そして、現状でも唯一のソヴィエト軍戦車兵のフィギュアセットである35214では、ハッチ開口部に納めることが前提なのであろう箱絵上列左側のふたりに、
「開かれた右手」と「閉じられた左手」という、過去のソヴィエト軍戦車兵の手付きのふたつのあり方の再提示が含意されているように見え、
35289-Cではハッチにかけられた手と緩やかにキューポラのふちに乗せられた手と、どちらかと言えば柔らかな初期的手付きが与えられた上で、
35303-F&Sでは35049-D的な身振り=ハッチの横から身を乗り出して前を見る身振りが、しかも半身像というあり方で再帰的に立ち現われたのでした。

さて、"ギガントのおっさん"は必ずしもその身体をキューポラに収めなければならないというわけではなく、
車輌の外部、或いは地面の上も立ち位置として選び得る存在であり、舞台の選択可能性が残されていたのですけれど、
ここまで振り返ってきて、第二次大戦期のソヴィエト軍戦闘車輛クルーのMMシリーズ最新作にして異端なのが35309-Zである、ということは指摘するまでもないことです。

地図を広げた会議はBT-7の砲塔上や車輌上を舞台とすることを否定する身振りであることは明白で、
つまり再度ソヴィエト軍戦車兵フィギュア史を振り返りますと、半身像化=車輌内部に最低限身体の一部を収めねばならない"檻"から、"ギガントのおっさん"で半軟禁状態の解放を経て、再度"半身像のシステムの檻"に身体を車輌に拘束されたり解放されたり、
全身像ながら手付きが車輌、とりわけソヴィエト軍車輌クルーにおいてはハッチを渇望、つまりは自ら望む身振りで車輌の頸木に囚われたりしながら、
35309-Zは完全に車輌からの身体の解放に至ったのでした。
そして見落としてはならないのは、彼らが抑圧的な被服の象徴=詰襟をまとわず、開放的な折襟服を着ていたことでございましょう。

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"半身像の檻"問題=車輌の内部に身体を拘束されるフィギュア・システムの暴力問題については、
もう少し書きたいところなのですけれども、模型を作る上ではそれを思考することは全く意味を持ち得ないことが恐ろしいほどに明白です。

35303-F&Sを眺めておきましょう。






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by tokyomonogatari | 2012-03-21 01:44 | Russia/Soviet | Comments(0)
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