人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日本軍占領下インドネシア・ジャワ島における「西住戦車長伝」

(1)マライ語版「西住戦車長伝」の製作

 昭和17年10月1日、ジャワ映画公社設立。

 日本映画のインドネシア人への一般公開が企画され、南洋映画協会の委託で三橋哲生により
 「西住戦車長伝」「支那の夜」「東京の女性」「孫悟空」「青春の青空」の5タイトルが持ち込まれた。
 その中から選出されたのが、「西住戦車長伝」であった。

 「西住戦車長伝」はフィルムをデュープし、要所要所に字幕を追加し、トップタイトルの音楽を消すなどして随所にマライ語を吹き込んだバージョンがインドネシア人向けに製作された。
 マライ語版「西住戦車長伝」の製作には、接収したオランダの映画会社ムルティフィルムの機材が利用された。

 マライ語版「西住戦車長伝」はジャカルタ、バンドン、スラバヤの三都市で昭和17年10月11日に封切られ、「風と共に去りぬ」の現地封切成績を凌駕する程に人気を博した。

 マライ語版「西住戦車長伝」は巡回映写隊も携行し、多くのインドネシア人が鑑賞することとなった。

(2)「西住戦車長伝」のジャワ島の映画館での上映

 日本軍占領下のジャワ島の映画館で上映された映画のタイトルは、『ジャワ新聞』の映画情報欄を見れば、
 掲載されている映画館に限り知ることができる。

 ただし、『ジャワ新聞』の創刊が、開戦1周年を記念した昭和17年12月8日であることから、
 「西住戦車長伝」の封切りからおよそ2ヶ月の間は、それが上映されたことを紙面で確認することは不可能である。

 以下は、『ジャワ新聞』映画情報欄に現れる「西住戦車長伝」の上映期間と、上映館。

 八千代スネン(ジャカルタ)での上映
 昭和17年12月13-19日

 八千代タナン(ジャカルタ)での上映
 昭和17年12月20-26日

 弥生映画劇場 (ジャカルタ)での上映
 昭和18年4月15-21日

 日本劇場(スラバヤ)での上映
 昭和18年10月1-10日
by tokyomonogatari | 2011-12-08 22:15 | 南方映画史メモ
<< Tamiya 35305-X&... Tamiya 35049-D ... >>