(1) Dragon 6190, Frozen Battleground (Moscow 1941)
ヘッドの造形から、Tristarのポスト平野氏時代の原型師によるものだと推断されるDrgon 6190は、 インジェクションフィギュア史における「プレ戦闘的」ポオズの最高傑作です。 襟口には頭を右にも左にも振れる寛容さが湛えられており、分割されたコートの合い具合も良好。 Dragon社フィギュアにありがちな、上半身-下半身間のボリュームの違和感、つまりは上半身マッチョな傾向もコートスタイルが故か低減されており、 コートのシワにも、ポストGen.2期におけるGen.2 Gear同梱世代のRevamped Gen.1フィギュアに時折見受けられるようなクドさがなく、 Dragon社フィギュア的な、過剰性或いはアンバランスさを抑制しつつ、綺麗にすんなり着地することに成功した、最高のキットだとお見受けしております。 -------------------------------------- ---------------------------------------------------------------------------------- (2) Dragon 6129, Survivors, Panzer Crew (Kursk 1943) 1/35インジェクションフィギュア史上初めて、ドイツ軍戦車兵に車外戦闘の身振りが与えられたのが、この6129です。 パンツァーヤッケ及びズボンの造形を損なうことなく、クリスピーに成形することに成功しており、上半身-下半身バランスも良好。 この造形と成形の質で、車輌に搭乗しているドイツ軍戦車兵を是非、と思わされるところなのですが、 中々どうして、6129を越えるパンツァーヤッケを着た男には、未だに出会えずにおります。 ------------------------------------------------------------------------------------- (3) Dragon 3020 Dragon 3020は、やや上半身-下半身のヴォリュームバランスが前者に傾斜している感はあるものの、 いかにもMike Good氏的なヘッドの造形のフレイヴァーが損なわれることなく成形されており、 何よりも、分割された現用アメリカ軍AFVクルーヘルメットが、すこん、とはまるその快感さは、それこそ恍惚の模型体験なのです。 ------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------------ (4) Dragon 6091, Ambush at Poteau (Ardennes 1944) 非戦闘立ちポオズのDragon社ドイツ兵フィギュアの中で、その物語的にも、その造形的にも、6091以上の良作は存在しません。 模型展示会で、1944年のポトーの武装親衛隊の"Hans Tragarsky"さん御一行を見かけない年はまず無く、 毎年誰かによって傑作が作られている6091は、二桁時代のDragon社フィギュアの最高傑作でございましょう。 未組み立て完品状態で、最低限ふたつは常備しておきたいフィギュアキットです。 ----------------------------------------------------------------------------------- (5) Dragon 6088, Kampfgruppe Peiper (Joachim Peiper & Staff, Ardennes 1944) 革ジャケットスタイルのヨアヒム・パイパー氏の二等辺三角形過ぎる立ち方と、 パンツァーヤッケの戦車兵の上半身-下半身間のバランスは今一つなのですが、 ディーフェンタール氏と、オートバイ兵用コートをまとった彼は素直な立ちポオズフィギュアとして、常備しておくべき傑作です。 ============ =============================================== ----------------------------------------------- -------------------------------------------------------------------------------------- (6) Dragon 6116 そのコートの流れ具合がやや片側に寄り過ぎている感があるものの、コートの前を優雅にはだけた将校のインジェクションフィギュアとして、 Dragon 6116のクルト・マイヤー以上の人物にお目にかかることができません。 傑作フィギュアの彼は、あちらこちらの戦線でクルト・マイヤー以外の人物としても情景模型に登場することがしばしばなのですが、 白マフラーの強烈な記号が、Dragon 6116のクルト・マイヤー以外の何物でもない事を物語ることの雄弁さたるや激し過ぎる感があります。 Dragon 6116的分割で、普通のドイツ軍将校が、マフラーをまとわずに、Tristar 35006的な硬さを感じさせることなく、 コートの前をはだけて、インジェクションフィギュアとして登場して欲しいと望む事長年なのです。 また、Dragon 6116で見落としてならないのは、Aのヘッドの成形の綺麗さです。 彼はDragon Smileでもなく、Shoutでもなく、若干憂いを秘めた素直な表情のヘッドとして、同時期にリリースされたDragon社フィギュアの中で抜きん出た傑作だと思います。 ------------------------------------------------------------------------------------- (7) Dragon 6056, German 2.8 cm sPzB41 AT Gun & Crew (Eastern Front 1943) ドイツ空軍のキルティング防寒服のDragon社の最初の事例にして、最高傑作なのがDragon 6056であると思います。 ヘッドには同時代の同社の傾向である、"Dragon Smile"が表出してますし、キルティングの縫い目が甘くなっている個所も存在しますし、 両膝を地面につけた彼の上半身下半身間の合いが妙な程に悪いのですけれども、 プレ戦闘的なポオズの冬季のドイツ空軍兵士の稀有さと、その手の造形の成形の綺麗さから、必携のフィギュアに仕上がっていると思いますし、 何よりも二人の絡み具合が付かず離れず絶妙な関係性を保ちつつポオズ決定されている感が心地よいのです。
by tokyomonogatari
| 2012-03-13 21:59
| 推薦フィギュア
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