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Tamiya 35113-Z [グライフのロンメル元帥と男たち]

Tamiya 35113-Zのロンメル元帥は、「MMシリーズではじめて人名のついた人形」*であって、
なおかつ、後述の「驚異的胸囲論争」を引き起こしたという点からも、MM史的に重要なフィギュアなのです。

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(註)
* 『タミヤニュース』1979.9 (Vol.87) P.15
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Tamiya 35113-Zの三立像を組む。
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↑彼はアメリカ海兵隊戦車兵として組みたい。
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Tamiya 35113-Z(1979.9)は、模型史家がMMの黄金期とする70年代に発売された、最後のドイツ兵であり、
Tamiya社が1/35スケールで初めて特定の人物をフィギュア化した事例でもある。

35113-Zのロンメル元帥は、冬の時代とされる80年代に35118=ゼネラルセット(1980.9)として再度登場する。
フィギュアモデラーが教養として押さえておくべきは、
フィギュア批評言論史において唯一、その論争に名がつけられている論争、
「驚異的胸囲論争」にて、その胸囲が驚異的であると批判された対象は、ゼネラルセットのロンメル元帥とパットン将軍だったことであろう。

驚異的胸囲論争のその主なところは、『タミヤニュース』Vol.106(1981.3)の「こえ」に掲載された、
I氏*の1ページ半の投書を端緒とし、それに対してVol.108でK氏*が1ページ強で意見を述べ、
「多少の不満があっても、良い側面を極力活かすようにして、100%楽しむ様に努力した方が、色々な意味で「健康的」ではないかと思います。
「模型を楽しむ心」を失わないようにしたいものです。」と、結んだものである。

「驚異的胸囲論争」という名称と、モリナガ・ヨウ氏の著作でのカットのイメージ**から、フィギュアのプロポーションを巡っての論争であったかのような印象を受けるのだが、
投書のテクスト原典を確認すれば、フィギュアのプロポーションのみではなく、車輌キットの出来栄えについての議論が展開されており、
寧ろI-K氏間での議論は車輌キット批評の方に紙幅を割いているのである。

I-K氏間の投書のやり取りの後、Vol.109ではM氏とK'氏(K氏とは別人)の投書が掲載され、
M氏はI氏とは異なり、フィギュアのプロポーションは「最近になってようやく、6~7頭身の日本人的外人の人形から脱却」したという見解を述べ、
「拍手をおくりたい」と当時のフィギュアの造形を肯定的に捉えている自己の立場を示した。
またK'氏はI氏の「こえの欄に載る投書に、メーカーに対するゴマスリが多過ぎる」という意見に対して、
「心から純粋に満足し、製品なりメーカーなりを賛美する投書をし、それが「こえ」に載ったからといって、
何がいけないのでしょうか。」としている。
Vol.110ではO氏が「最近のフィギュアの出来は問題、マンガの登場人物みたい」であるとI氏のフィギュアに対する見解を支持、
と、以降も度々こえの欄でI-K氏間(Vol.106-108)の「論争」というよりも「意見交換」
に対して、投書欄を議場/ライティングスペースとして当時のモデラーが各自の意見を示していたのが、
いわゆる"驚異的胸囲論争"と今日歴史的事象として括られているものである。
しかし、必ずしもその議論はフィギュアの胸囲それ自体にあったわけではなく、模型全般に渡っての議論であった事は、今一度原典に当たって確認しておく必要があるのではなかろうか。

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"驚異的胸囲論争" 冬の時代とされる80年代に咲いたモデラー少年/青年たちの熱い意見交換については、
もっと整理して、近いうちに改めて書きたいと思っております。

*I氏、K氏はタミヤニュース誌上では実名で書かれている。

**『35分の1スケールの迷宮物語』(大日本絵画、2003) P.102
カットとしてロンメル元帥が描かれ、「ぶ厚い胸板」と傍に書かれている。

テクストには「「模型を変にデフォルメするな」という意見に対し「素直に楽しみなさい」」(傍線 tokyomonogatari)
や、「田宮模型的デフォルメ」とあって、モリナガ氏は驚異的胸囲論争という名称を用い、なおかつロンメル元帥の胸板のカットを配しつつも、
その"論争"がフィギュアのみの論争ではなかった事に、かなり注意を払って記述している感がある。
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Tamiya 35113-Zは、一枚493円

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by tokyomonogatari | 2011-11-23 07:07 | Germany
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