東京の某模型店にて、静岡ホビーショーでタミヤ社が展示した新製品を眺め、
35318のフィンランド軍突撃砲兵は、モノクロ写真で拝見した時に、肩幅が広く、上半身がガチな印象で、 ヘッドもアクが強い造形に見えて、ちょっとアレかもしれぬと正直思ったのですが、 塗装された彼を眺めてみれば、中々イイ感じであって、砲塔の枠内にガッツリ入っているものの、 キットを一つ購入して、フィギュアを2枚カスタマーで買うのが最も幸福なあり方だとお見受けいたしました。 35322のベレー帽とソヴィエト軍戦車帽をかぶったイスラエル軍戦車兵のふたりは、明らかに傑作。 ベレー帽の彼はアフリカ戦線のイギリス軍戦車兵として活躍なさりそうですし、 ソヴィエト軍戦車帽の彼はヘッドを挿げ替えれば各国軍隊のシャツスタイルの車輌クル―として八面六臂の活躍ぶりを示しそうで期待大。 彼らは展示されているパネルによれば、砲塔のJパーツの枠内にガッツリと、半身像ならぬ2/3身像で入る模様で、 見たところ砲塔のほとんどがJに入っているご様子。砲塔をレヴィタシオンさせてカットするヴィネットにも、 このJパーツは有難いあり方だと思います。 35320のドイツ軍野戦憲兵は、明らかにICM的な男っぷりの良いヘッドの造形で、 ズボンの縫い目はどうやら外側のみに入り、内側には入っていないようで、気になるならば三角刀やニードルで彫る必要がある模様だけれども、 しかし何にも増して感動的なのは、今回も35314に続いて、完成見本の質が高いことでございましょう。 あの頃のように、箱裏の写真を見ても、もうガッカリすることのない、誰にとってもステキなものに今後のタミヤ社フィギュアのパッケージが向かって行きそうで、 期待膨らむばかりなのですが、造形的にとりわけグッと来たのは、すたすた歩く略帽の彼で、 その歩きぶりたるや、タミヤ社MM史上最高のバランスだとお見受けいたします。 このブログをご覧になっている方におかれましては、そのあたりの攻究をなさっていることと存じ上げますが、 将校的記号を身に付けた兵隊ミニチュアは、「立ち止まる」か、その身振りが静的である、という傾向にあります。 ここでタミヤ社のMMシリーズのフィギュログラフィーを思い出していただきたいのですが、 すたすた歩くポオズが、 (1)将校用バックルのドイツ兵像 (2)乗馬用ズボンを履いたドイツ兵像 (3)M36/40野戦服を着て、なおかつサスペンダーやガスマスク等装備品の紐が付いていないドイツ兵像 に与えられるという、1968年から始まったMMの歴史において、ありそうでなかった身振りと身なりの組み合わせが、 今回歩く略帽の彼に与えられていて、彼の存在こそが35320の華だと、私は見ております。 ==================================================== Italeri 1246, 1/72 NATO Pilots and Ground Crews 例によってイタレリ社のキットでございますから、シュリンクされているか、 丸いシールが貼付されているかして封をされており、模型店で気軽に中身を見ることが中々出来ないこのキットではございますが、 双子を12組、三つ子を8組の、計48人が含まれ、その造形ぶりは1/72スケールとしては中々良好で、 結論を言えば、明らかに買いなのです。 箱絵と同じポオズの人が、どうやら一人も入っていない、というのもまた、 箱絵と中身の相違が日常茶飯事のフィギュアキットのことですから、爽やかな笑顔とともに、甘受すべきことでありますし、 パッケージに写真作例を配する事の多いレジン/メタルフィギュアのあり方とは異なって、 寧ろクールな箱絵と中身のギャップこそが、インジェクションフィギュアキットの味わいに他ならず、 モリナガ・ヨウ先生が「ガッカリ姉ちゃん」と卓抜な表現をなさった某ソヴィエト軍女性戦車兵女史の、 そのイメージと現実の差異を、人生訓的滋味として反芻して味わい尽くす位の心の消化器官の逞しさを私は獲得したく、 時に敢えて中身を見ずに買うそのスリリングさをすら愛せなければならないと、最近は思えるようになりました。 このフィギュアは、そんな消化酵素或いは変な意地を働かせずとも、イイと言えるフィギュアでございますし、 エアフィックス社の軟質樹脂の同様のフィギュアよりもやや硬質の樹脂で抜かれ、 コリコリと削って加工出来る程度の硬さになっていて、元々1/72スケールのNATO軍の航空隊インジェクションフィギュアが少ないことからも、 まず手元においておくべきフィギュアだとお見受けいたします。
by tokyomonogatari
| 2011-05-26 01:58
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