(0)塗装概説 Tamiya 35300-Eのイギリス軍戦車兵半身像の塗装
(1)Tamiya 35320のドイツ軍将校の組み立てと塗装 (1-a)1/35ミリタリーフィギュアを組み立てる パーツを整える際の工具は、「カッターナイフ派」と「デザインナイフ派」と「モデラーズナイフ派」の三派に分かれますが、 1/35フィギュアにはデザインナイフが刃のサイズ的にベストだと思います。 なお、部品をゲートカットせず、ランナーについたまま各部位を塗装するスタイルを推奨される方もいらっしゃいますが、 パーティングラインとゲートの処理と、その部分への塗装を考えますと、極力身体を組んだ状態で塗装した方が良いと私は思います。 プラスチックモデル用接着剤は「有機溶剤にスチロール樹脂が溶け込んでいる一般的なもの」と、 「有機溶剤成分のみの流し込み接着剤と呼ばれるもの」と「リモネン系接着剤」の三種に大別されます。 私見では、1/35のプラスチック製フィギュアを作る上では、「流し込み接着剤」がベスト。 部品の合わせ目に毛細管現象を用いて流し込み得る低粘度さゆえに、「流し込み接着剤」の名が与えられていますけれど、 塗布して貼り合わせても接着出来ますし、フィギュアの表面に少量塗って、削った跡をならすのにも使えます。 接着剤の塗布を、「片面に行う人」と「両面に行う人」がいます。 私は両面に少なめに塗りつつ接着面を整えて、貼り合わせて、場合によっては更に合わせ目に流し込む派です。 パーティングライン(Parting Line, PL)と呼ばれています*。 パーティングラインは、昭和期から日本の模型界で、タイ焼きの型の合わせ目に生じるもの、 に例えられてきましたが、今日ではその部分を敢えて大きめに取った、「羽根つき」と呼ばれるものの知名度が増し、 寧ろ価値のあるものとして捉え直されており、そろそろ例え方を再考すべき時に来ているのではないか、と思われます。 さて、このパーティングラインは、実物の人間のほとんどには存在していないはずなので、 削り取っておきましょう。 -------------------------------------------------------- (註)*PLを境に、金型はキャビティサイドとコアサイドに分かれる。 キャビティサイドは製品の"正面"であり、コアサイドは押し出しピン(Ejector Pin, EP)で押し出される"裏側"である。 1/35フィギュアの場合、身体のパーツそれ自体を押し出しピンで押し出すことは極力避けられているが、昔のキットには散見される。 フィギュアの胴体側面に、ランナーにつながらない形状で円筒形のものが出ている場合があるが、 あの部分をブローと称し、パーツに押し出しピン跡を残したくない場合にブローをEPで突くことによって、 成形品を金型から押し出す。 ---------------------------------------------------------- パーティングラインをデザインナイフで削って消します。 デザインナイフでパーティングラインを削る方法としては、削ぎ取る方法と、 刃を面に立てて横に平行移動させて削る、「カンナがけ」と呼ばれる方法がありますが、 よほどひどい羽根つきになっていない限り、後者のみで対処します。 モリナガ・ヨウ氏は、 「パーティングラインは必ず消すこと。これは失敗とかいうレベルでなく、志の問題です。」 と仰っています**。 せっかくフィギュアを作るならば、最低限パーティングラインは消してあげなければ、 そのフィギュアが可哀想です。 ----------------------------------------------------- (註)**Armour Modelling, extra No.2(2001.1月号増刊), P.23-27 ----------------------------------------------------- モリナガ氏は、「見える袖口の開口は必ず行うべきです。たとえるなら袖口が開いていないのは、戦車の前方機銃が開口していないのと同じくらい興ざめです。」 とされています***。 ----------------------------------------------------- (註)***前掲書 ----------------------------------------------------- 真鍮線を手に挿しこんでエポキシパテを盛り、手首以下を造形することなのですけれど、 今回は、手を切り離さずに袖口を開けましょう。 まずは0.8mmドリルで穴を開けます。 ベルト側と上着の裾ポケットと、ホルスターの裏側を若干、デザインナイフで削って合わせました。 (1-b) タミヤエナメル塗料による1/35ミリタリーフィギュアの塗装 模型用塗料の概説については、 "Kunihito's Modeling Knowledge" の「主要塗料解説」(Panzer Graph! Vol.4(2006, spring)所収) が最良のテクストだと思います。 (1-b-1)ヘッドを塗る 筆はタミヤモデリングブラシPRO面相筆00号(以下PRO-00号と記述)。 タミヤのスミ入れ塗料ブラウンを十分に撹拌して、塗料皿に取り、 PRO-00号で暗部に流す。 タミヤエナメルのフラットフレッシュ+フラットホワイトをPRO-00号で塗る。 タミヤエナメルのフラットフレッシュ+フラットホワイト+フラットレッド少量を、PRO-00号で塗り、赤みを入れる。 タミヤエナメルのフラットホワイト+フラットフレッシュ少量を、PRO-00号で明部に塗り、 これまでに用いた色で全体を調整。フィギュア上方の光源下でそれらしくまとまっていれば良い。 髪の毛とまゆ毛を塗る。 毛の位置はサーフェイサー仕上げ用ライトグレイの下地にスミ入れ塗料・ブラウンを流したままである。 (1-b-2)手を塗る フラットフレッシュ+フラットホワイトで明部を塗る。 (1-b-3)ブーツを塗る (1-b-4)乗馬ズボンを塗る (1-b-5)ベルトと拳銃ホルスターを塗る クロームシルバーで金具部分を塗る。 (1-b-6)M36野戦服を塗る 後は記章類の塗装とデカール貼り、全体の調整である。 ------------------------------------------------------------------- 余録 色の振れ幅が小さめな暗色→基本色→明色 (余録-1)ドイツ兵のズボンを塗る。 暗色塗り→基本色塗り→明色塗り の、暗から明への単純三段階。 ミディアムブルー成分を強くした物=暗色を暗部に塗る。 *タミヤエナメルは、「XF」でも若干ツヤが出る感があるので、服の色はフラットベースで抑える。 塗る筆はブンセイドウ ハイセーブル 5/0 368円。 混ぜる筆はダイソー ナイロン筆極細 2本で105円。 (余録-2)ルーマニア兵のズボンを塗る。 同じく暗色塗り→基本色塗り→明色塗り カーキ成分を若干強くした物=暗色を塗る。 -------------------------------------------------------------------------------------------------- (2)Tamiya 35240-A "自転車ハンス"のタミヤエナメル塗料筆塗りによる塗装過程 Painting "Hans by Bicycle" Step by Step (2-a)下塗り ベルトや輪郭線に沿って、デザインナイフをグッと押し付けて筋を付けておく。 ある程度削ったら、右腕を流し込み接着剤を塗って接着、上から更に流し込む。 1.5mmドリルでかかとに穴を開ける。 ==================================== (2-b)顔を塗る 私は鼻柱から塗る派です。 同じ色で肌に「赤み」を入れる。 「赤み」=フラットフレッシュ+フラットホワイト+フラットレッド。 写真はハンスの左頬に赤みを入れた状態。 ブロンドの髪の毛はフラットブラウンを下地に、デッキタンを上塗りして表現する。 ========================================= (2-c)トップスを塗る 併せて稀釈したフラットブラックを左ポケットの徽章の内側に流す。 ================================================= (2-d)ピーパターン迷彩ズボンを塗る 「ブラックグリーン」=フラットブラウン+RLMグレイ+フラットベース。 「ピンクサンド」=フラットフレッシュ+デッキタン+フラットベース。 「ライトグリーン」=イエローグリーン+デッキタン+フラットベース。 「ベースカラー」=フラットブラウン+デッキタン+フラットベース。 「ブラックグリーン」=フラットブラック+RLMグレイ+フラットベース。 =============================================== (2-e)靴とレギンスを塗る。 デッキタン+フラットベース。 デッキタン+フラットベース。 (側面の締め紐はフラットブラウン、その金具部分はクロームシルバー) =================================== (2-f)襟章、肩章、袖章を塗る。 ハンスの襟章と肩章と袖章を作って、塗ります。 ズボンをピーパターン迷彩にしたために、徽章類はSSのものをこしらえます。 襟章は一枚から切り、肩章は二枚重ねから切って作る。 使用しているマスキングテープは、タミヤのもの。 フラットホワイト+フラットベース。 ルーン文字のSSを穂先で描くも、中々綺麗な線を引けず。 伸ばしランナーをスライスして直径0.5mm程度のボタンを得て接着。 鷲章の下の丸い部分は、伸ばしランナースライスを接着。 ======================================= (2-g)銀ボタンを銀を使わずに表現する。
by tokyomonogatari
| 2011-11-13 05:59
| ☆フィギュア模型の基本
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