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Tamiya 1/35 M8 Armored Car (1966)-Figure

モリナガ・ヨウ氏の近著『プラモ迷宮日記』(大日本絵画、2011)は、
その帯で謳われているように、「戦車プラモの定点観測として希有な一冊」である。
模型考現学-Modern-Modelologyにおいて、リアルタイム証言の記録史料として比類なく貴重なテクストであり、
模型史研究において不可欠な一冊の位置に鎮座し、その座りの深さと確かさは、
ことに戦車模型を巡る様相が、ゼロ年代に激しく変容したという事をもってその度合いを増している。

パクス・タミヤーナと表現して差し支えないであろう90年代以前の戦車模型のレジームが、
群雄割拠期、勢力均衡の時代へと移行したのがゼロ年代であった。
その移行期に綴られたリアルな証言が記録されている同著は2011年の今日にこそ再読必須、
必携以外の何物でもない一冊である。

ところで、私の眼を何にも増して奪ったのは、同著のカバー表紙において、
「はじめて指さし兵が地上におりる。」と記述されていることであった。

なるほど、それ以前の指差し兵の事例を思い出せば、
M42ダスターに付属した1/35アメリカ軍戦車兵の指差し(1970)*と、
1/25戦車に初めて付属したフィギュアでもあったT-34のソヴィエト軍戦車兵の指差し(1969)**がある。
モリナガ氏はその二例を意識しつつ、「地上に」と限定して書いたのであろうと私は推測し、
2011.9.9記事の註釈部でその旨を記述したのであった。

後日、モリナガ氏よりコメントを戴き、なるほどグレイハウンドの彼(1966***)なのですね、
と膝を打ちまくった次第である。

グレイハウンドの彼は、Tamiya社フィギュア史において、初めてインデックスポオズが与えられた1/35フィギュアであろうことから、
史料として是非とも手元に置いておきたやと思っていたところ、
S氏(25歳男性・理系・カーモデラー)より、「近所のリサイクルショップでイベント再販版が140円で売られていたけどフィギュアどう?」
と問われるという奇跡に見舞われ、即ごっつぁんしたのは、数日前の事である。

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(註)
*後に35004(1970.7)としてフィギュアキットとして発売されている。

**1/25 T-34人形として、イベントで販売されていた。2007.3.1記事参照。

***早大闘争の年である点にも留意。
『シリーズ20世紀の記憶 高度成長 ビートルズの時代』(毎日新聞社、2000)p.184には、
早大闘争時に「機動隊導入の動きに政経学部103教室に泊まり込んだ学生たち」の写真が掲載されている。
同著を高田馬場BIG BOXの古書市で購入してその写真を眺めた学部二年の秋、
前年度に単位を落としたマクロ経済学入門を、私はまさに3号館103教室で再履修していたのである。
しかしながら、その年の春に同教室の椅子とテーブルは固定されたものに改修されており、
泊まり込み及びバリケードの構築が不可能になったことを、ゼロ年代にひたぶるに感じたものであった。
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by tokyomonogatari | 2011-10-07 02:57 | U.S.A.
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